江戸時代 万能の天才 コピーライター 平賀源内の引き札「嗽石香」

 
引き札とは………
13世紀に一遍上人が「南無阿弥陀仏」の札を出したとあるが、天和3年に越後屋が呉服の宣伝に「現金安売り掛け値なし」という引き札を十里四方に出したのが引き札の始まりと言われる。裕福な大名、武士が年に1、2回まとめて払う掛け値売りが大店舗では普通で、これを交渉値引き掛け売りがなく、現金取引の正札売りにしたのが、大いにあたった。同業者の反発に幕府の検閲も入ったが、井原西鶴はこれを大商人の手引きと引用した。来客に酒や割引券を進呈するなどの文句も話題になった。

平賀源内(1728〜1780年)江戸時代中頃に活躍した本草学者、地質学者、蘭学者、医者、殖産事業家、戯作者、浄瑠璃作者、俳人、蘭画家、発明家。
『平賀源内が1769年(明和6年)に知人の依頼で歯磨き粉の引き札を作ったのが有名になった他、多くの作家が引き札を作成し、話題になった。』(参照・ウィキペディア)
「飛花落葉」風来山人 作[他] 天明3年(1783) 平賀源内の死後、江戸の引き札を集めたコピー集。国立国会図書館デジタルコレクション所蔵


「嗽石香(そうせきこう)」のページ
『実は隠すのは野暮なので、ぶっちゃけバラしますが、防州の砂に匂いを付けたもの、教え通りに薬種を選び念入りに調合しました。歯を白くするだけでなく富士の山ほどの効能があると聞きました。しかし、効くのか効かぬか、私にはわかりません。でも、たかが歯磨き、ほかの効能なくても害も無いでしょう。正直言うとお金が欲しさに早々に売り出すことにしました。お使いになって万一良くなく、捨ててしまっても、たかが知れた損でしょう。私の方はちりも積もって山となります。もし良い品とご評判いただけば表通りに店を出し、金看板を輝かせて今の難儀を昔話としましょう。(略)てっぽう町裏店の住人 川合惣助元無(源内の匿名)売弘所 恵比寿屋兵助』(参照・アドミュージアム東京学芸員 坂口由之)

『めがさめそう』風俗三十二相 大判32枚 月岡芳年 明治21年 歯ブラシの引き札目的かどうか詳細は不明。歯を磨きながら朝顔を眺める、寝ぼけ眼の娘。(国立国会図書館デジタルコレクション所蔵)



歌川国貞の「当世三十二相」シリーズの1枚。のちに豊国を襲名した国貞は、安政6年から文久元年にかけて「今様三十二相」シリーズも制作する。江戸時代の歯ブラシである房楊枝で歯を磨いたあと、楊枝の柄の平たい部分で、舌にたまった汚れや舌苔を除去している。(ウィキペディア)

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