喜多川歌麿が描く『名取酒六家選』酒の引札(広告)
●版元・蔦屋重三郎と喜多川歌麿が組んだ大判六枚揃いの錦絵である。銘酒と名高い酒と人気の遊女を組み合わせた、寛政七年(1795)頃の板行である。通説では、蔦谷重三郎が寛政九年(1797)48才で死ぬと、気落ちしたのか、以後の歌麿の絵は濫作気味になったといわれるが、下記の浮世絵には、すでにその傾向が見られる。他の引札を見る
●喜多川歌麿の終焉 入牢後に、描く事に気力を無くした歌麿、荒れる画力に無気力な浮世絵 文化1年(1804)5月に幕府による出版物・錦絵類の規制処罰で、歌麿は入牢・手鎖50日を受けた。この後、歌麿の精神的・肉体的に急速に衰え、死期間近と見た数多くの版元が、歌麿の絵を求めたと言うが、かつての歌麿でなく濫作であった。上記の浮世絵も人物も画面構成も良くない。特に白木屋は色気も体のラインも良くない。夏衣装当世美人は、9枚の連作と思われるが、その中より3枚を紹介する。他の和服店は泉屋、松坂屋、伊豆屋、大丸屋、荒木屋、若屋である。(参考・『原色浮世絵大百科事典 第七巻 作品二 清長ー歌丸』大修館書店 昭和55年刊)