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Aー長府藩毛利家の可能性は、結論からするとほぼ無いと考える。 私は始めの頃、長府藩毛利家下屋敷門の説がいちばん高いと考えたが、調べるとこの屋敷は、明治初年頃まで佐倉藩堀田家の預かりであり、門は残ったと考えるが、周囲の開発の速度は速かったようで茶桑畑になった様である。特に街道沿いは町屋に成るのが早かった。 明治20年(1887)頃の地図を見ると、大名屋敷跡は、桑畑・茶畑の育成に失敗の後、草地として放置されようだ。屋敷は壊されたが、長屋門と塀は土地境界確認のため、毀されず移築されなかった可能性がある。東京都に残る数多くの大名屋敷門は、門や塀などが残されている例が多い。 なぜ大名屋敷門だけが残されたのか、門とそれに付随する塀は、大名屋敷の敷地を確定する重要な建築物だからである。江戸幕府からの拝領屋敷は、藩の所有物ではない、明治維新と共に明治政府の所有する土地となった。土地使用が決まるまで保存のため、取りあえず境界目印である塀と門は残された。(写真は壊された大名屋敷の塀) 『白金の歴史』(森崎次郎著 港区史跡の会刊 昭和58年)の記述 『明治になって武家屋敷が取り払われた跡地の利用として、2年8月東京府知事大木喬任は太政官に桑茶政策を建言し、物産局が設けられて、桑や茶の植え付け希望者には地所を払い下げ、または付与して耕作の奨励をした。当初は東京市中に長屋門だけがあって、桑茶が植わっている所が各所にあった』とある。 ●明治20年(4887)以降の地図をみると、長府藩下屋敷土地には地番が振られており、土地売却の用意が完了していたと思われる。門など取り払われており、河原氏が購入する明治31年(1898)、土地に門はなく、すでに町並みが出来ていたと考える。 |
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地券(土地の売買記録)とは、土地売買の記録である。 |
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Bー 小島藩松平(瀧脇)家の可能性は……ほぼ無いと考える 定紋から見ると掛川藩ではなく、小島藩松平家の定紋である。小島藩上屋敷は明治元年頃の早い時期に変化した、憲兵隊の官舎が造られた。その後、水戸藩邸沿いの道路が延ばされた、その工事のため屋敷は毀されたのではないか、門はどうなったのか。後に水戸家屋敷跡は小石川後楽園となった、それと共に憲兵隊官舎もなくなり草地となった。 小島藩上屋敷は『東京市及接続郡部 地積台帳』(明治45年・大正元年)を見ると4つに分割され個人が所有した。その後、柔道の嘉納治五郎氏が、明治27年(1894)に真砂町にあった陸軍省内の道場から移転、小石川区下富坂町の私有地を買い道場を設立「講道館」となり現在に至る。 Cー掛川藩 太田家(摂津守・資功)の可能性……無い 愛宕下の上屋敷は明治9年の地図でも、地番が振られて佐久間町2丁目13番地となっている。地券(土地の売買記録)の記録である『東京市及接続郡部 地積台帳』(明治45年・大正元年)を見ると所有者は村井眞雄氏とある。売買の年代ははっきりしないが、おそらく明治最初の所有者と考えられる。この時、大名屋敷門はあったのかどうか資料はない。また定紋は太田桔梗でなく、そのため掛川藩ではない。 ●結論として、蓮光院武家屋敷門は小島藩上屋敷富坂下の可能性も高いが、明治10年から20年の間に敷地は道路建設により約半分に分割された。この際、武家屋敷門は移築されたのであろうか、明治27年に柔道の講道館が設立されたとき、すでに門はなかったと考える。 明治31年(1898)に河原久輝氏が購入するまで、武家屋敷門は何処にあったのか謎である。伝承から長府藩毛利家下屋敷門であると考えた方が無理がないようだが、定紋と瓦紋が江戸時代からあるものか、明治時代になり誰かに附けられたかの説明が付かないため断定は出来ない、謎が残る。(2012年) ●ホームページを見た方から御教示を頂いた、大名屋敷門に詳しく長年研究されておられるアマチュアの研究家である。指摘がもっともであり、もう一度、初心に返って調べてみたい。 新しい調査ページで詳細があり。 明治初期の武家地処理問題について。 ●2014年、大名屋敷門に家紋を付けられる条件があることが判明した。その条件に蓮光院大名屋敷門は該当しない、故に家紋は明治以降に付けられたと考える。(『江戸と江戸城』SD選書 鹿島出版研究所) Dー大田区史の記述に、大名屋敷門を池田藩31万5000石ではないかとあるが、可能性は無いと言える。 五反田池田山にある池田公爵邸(池田藩下屋敷)門を河原家の大名屋敷門としたようだ。この可能性は無い。大名屋敷門は、明治31年(1898)に河原氏によって購入され自宅の門とした。しかし池田山の池田公爵邸の取り壊しは大正10年(1921)からであり、池田山住宅地として整地を続け、下屋敷跡は高級住宅地と売り出された。最初に整地され、売り出しは昭和5年(1930) 頃であるようだ。 - |
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