天才、平賀源内について……
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晩年の10年間で平賀源内には、全部で9編の浄瑠璃戯作があります。そのうち3編が合作です。彼の戯作の特長として、本草(薬学的なもの)などのトリックを持ち込んだことにあります。例えば「白紙の密書を渡し、水に浸せば文字があらわれる」、「ちん毒などで人を殺す」「水銀を使う」など目新しいものを取り込みました。
また、江戸っ子に受けるように題材も江戸や江戸近郊のものを選び、言葉も上方から江戸方言や郭(くるわ)言葉を使うなど工夫を凝らしています。江戸の義大夫節の先駆けになったのが平賀源内だったのです。
(参考『平賀源内』城福勇著 株式会社 吉川弘文館 昭和46年 発行)写真は『戯作者考補遺』所載の木村黙老による平賀源内の肖像画
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