東光園が発行・発売した『大名道中』大正7年刊(1918)について

書名・『広重豊国・名画百種 大名道中』編集・発行 秋好善太郎  株式会社 東光園 (東京淀橋町6128)発売・大正7年1月 7円50銭(豪華本)
判型 本体・左右228ミリ、天地302ミリ(カバー238×310ミリ)くるみ箱  浮世絵寸法 182ミリ×266ミリ 蛇腹折り画帳仕立て、裏表に浮世絵

大正7年(1918)に発売された豪華本、浮世絵は和紙で印刷され、裏表を貼り合わせ、お経の様に蛇腹で造られた凝った本である。定価は7円50銭で高く、今の価格で7万円ほどである。印刷はおそらくコロタイプ印刷であると思われる。
 
  題名の『大名道中』から想像できたが、手に入れてみると驚くことに、江戸時代幕末、文化三年に将軍家茂の上洛風景を東海道五十三次になぞらえて、歌川派17名を中心に制作した『御上洛東海道』であった。江戸時代売られた将軍家茂の『御上洛東海道』の浮世絵は、江戸から京都まで約162枚になるが、大名道中では内90枚ほどを京都まで選んで順番も忠実に掲載している。大正7年(1918)に何故このような豪華本が出たか不思議である。発行人・秋好善太郎氏は跋文で大正の世情を嘆いているように見える。『馬込と大田区の歴史を保存する会』所蔵

東光園については詳細は不明であるが、豪華本や美術本の専門出版社であろう。この大名道中も当時の金額で8万ほどで大変高価である。


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くるみ箱を開いたところ

秋好善太郎氏による跋文 拡大
東海道名所之内 東都数寄屋河岸橋 広重(右)、東海道名所之内 尾張町
 一松齋芳宗
御上洛東海道       トップページに戻る