旧中原街道の難所、切通しの長い下り坂 桜坂又は大坂(おおさか)と言われた。
桜坂の写真
桜坂、古くは大坂と呼ばれた急坂
  旧中原街道は、「丸子の渡し」まで勾配のきつい長い下り坂が続く。現在の中原街道に平行しているが、遙かに勾配はきつい、大変難儀な道である。大正期の地図によると、長さは600メートルあまりの坂で、降りきったところが「丸子の渡し」である。坂の中程が切通しになっており、春には桜のトンネルとなる。写真は切通しの陸橋から見たところである。
 現在、坂を下りきると右に東光院があり、左に目蒲線の沼部駅が見える。大正期の地図には目黒蒲田電鉄「武蔵丸子駅」となっている。最後に右に曲がり多摩川堤防を越えると「丸子の渡し」である。

2000年8月6日より多摩川駅を境に路線名の変更が行われた。多摩川駅から蒲田駅までは、目蒲線から東急多摩川線と名称が変わった。目蒲線の名称変更は 時の流れの結果です。都心への私鉄の相互乗り入れが始まり、目蒲線は目黒駅への地下鉄南北線や都営地下鉄三田線が乗り入れ、東横線の都心乗り入れなどによる乗客の増加が見込まれ、駅のプラットフォームが短い多摩川から蒲田までの路線は乗客の増加も見込めない地域輸送路線と定義され多摩川線と改称された。 写真は坂の頂上から見たところ、赤い陸橋がある。左の写真は桜坂の石碑と案内柱。坂の旧名は「沼部大坂」である。江戸時代の頃は、この坂を馬や大八車で登るのは大変なことであったろう。確認は出来ないが、坂の両側の壁には、棒を差し込む穴が掘られていたという。

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踏切を渡り土手を降りた先に「平間の渡し」があった。
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桜坂を下りきった所の右にある東光院、左側には六郷用水が流れ、その姿を再現した公園がある。東光院から30メートルほど歩くと多摩川線・沼部駅踏切に出る。   写真右側にカーブしている、緩い登り坂を上がると多摩川堤防上に出る。そこから川原を下った先に「丸子の渡し」があった。 江戸時代の堤防は今のように高くはなく、下りきると川面が見えていたのではないだろうか。
 住所 田園調布本町18付近 最寄り駅 東急多摩川線・沼部駅