世界でも有名な葛飾北斎の代表作 富岳三十六景「神奈川沖浪裏」


葛飾北斎と波の伊八の遭遇北斎が真似たと言われた「伊八の浪」は本当か?
 
  良く知られた天才彫師として「波の伊八」(初代・武志伊八郎信由)がいる。葛飾北斎の有名な浮世絵・冨嶽三十六景『神奈川沖波裏』に描かれた波の形は、伊八の彫り物を真似たものと言われている。この波の形は、久が原東部八幡社の籠彫霊獣サイを囲む波の形に似ている。伊八の制作した波の形は、その後の波の形を決め、波の形は「伊八の浪」が定番になったと考えられる。伝承では、北斎の房総旅行時に伊八と会っていると伝えられる。(参照『名工 波の伊八』長谷川 浩一著 鴨川書店 1993年刊)

 彫師は一家を成し、血縁相続より家を守るために、門人の中から腕の良い者が家を相続することが行われた。江戸中期頃までの棟札に彫師の名前はなく、墨書きもされなかったようだ、そのため腕はよいが、無名の彫師が多い。江戸末期になると寺社彫刻に墨書きがあるようになった。大田区にも江戸彫後藤流の堂宮彫刻師・塚原忠雄氏がおられる。

波の伊八について生誕・宝暦元年(1751)〜死没・文政7年(1824)
本名を武志伊八郎信由(たけしはちろうのぶよし)と言う。安房国長峡郡下打墨村で名主武志家の5代目として生まれた。年少より芸術的センスに優れ、10才頃より彫刻を作り、躍動感溢れる彫刻を生んだ、特に波の立体的な表現は独自の着想である。彼が海の波の崩れ落ちる瞬間を見つめ続け体得したものである。波の落ちる瞬間はこのような形であると人々に納得させた。葛飾北斎も安房国の寺で見たと伝わる。確かな記録はないが確かだと思われている。

2011年1月3日、NHKの特別番組、『北斎 幻の海 パリで発見!伝説の傑作“千絵の海”完全復刻 』で葛飾北斎を取り上げた。フランスで 発見された画帳仕立ての浮世絵豪華本『千絵の海』から、北斎未知の連作が明らかになった。放送では、彫師・波の伊八を取り上げ、北斎との関係が明らかになった。北斎は「波の伊八」の波に驚嘆し模倣した、地元など一部の人達には知られていた「波の伊八」が、浮世絵が発見されたため完全に認知されたと考える。

「神奈川沖浪裏」に見る波の形、これが波の伊八から学んだ。
行元寺(ぎょうがんじ)の欄間(らんま)部分
『浪に漂う宝珠の図』『名工 波の伊八』 長谷川 治一著 ロング出版刊 平成5年(1993)限定500部

〈伊八会案内〉
伊八会(初代「波の伊八」ファンクラブ)は、房総半島を中心に活躍した江戸時代の彫工「波の伊八」の作品を鑑賞し、交流するために2002年に設立されました。伊八研究の第一人者、長谷川治一先生(元鴨川市長、2009年に逝去)の指導を仰ぎながら、年2回の鑑賞会のほか、勉強会や会報発行などの活動を続けてきました。※このサイトのタイトルにもなっている「伊八会」の文字は、長谷川治一先生の書です伊八会へのお問い合わせは、メールは(xhanasaki@yahoo.co.jp)まで。電話は 047-477-8629 (當間隆代)です。伊八の作品がある寺院 飯縄寺、行元寺、妙法寺 (杉並区)
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