日本や外国の珍しい鳥を描いた図巻『薩摩鳥譜図巻』


国立国会図書館デジタル化資料に収蔵されている『薩摩鳥類図巻 完』一巻は不思議な巻物である、美しい鳥が描かれているが鳥名しか記載が無く。色も不正確な鳥があり、国内外の珍しい鳥を取り上げているだけの様に見られる。巻名の薩摩も薩摩に見られる鳥を集めたわけでなく、絵師や詳細は不明である。国立国会図書館デジタル化資料で見ることが出来る。(右は薩摩鳥譜図巻の写真)

江戸時代、今と違い木版印刷技術では筆で菜食された美しい鳥を再現することが出来ない。そこで絵師に転写させる以外ない、腕のよい絵師にはこのような仕事があったのではないか、この図譜も大名や鳥好きの富豪に贈り物ため制作されたと考える。江戸の町狩野や表絵師にも転写の依頼があり、大きな関わりを持ったと考えられる。


「ヤールホーゴル(ヤアルホウゴロ) サイチョウの仲間(カササギサイチョウか)」絵師不明、ブッポウソウ目サイチョウ科 左の鳥は海南鶏

「カラタン雄」絵師不明、七面鳥 左の小鳥は> 「一名五色子 山火燕」国立国会図書館デジタル化資料
木版画 ダチョウ(駝鳥)
木版画 ヒクイドリ
「駝鳥(ダチョウ)ヒクイドリ」絵師不明、火食鳥ともわれる。ダチョウ目ヒクイドリ科、口先の小鳥は「島ムク替」、その下は「郭公」、右は「大シユリン」、国立国会図書館デジタル化資料 堀田正敦『堀田禽譜』 ヒクイドリ

木版画 朝鮮キジ
「朝鮮キジ雌雄」絵師不明、キジ目キジ科 日本の国鳥であるが、この鳥が該当するかは不明。高麗キジとは普通のキジとは異なり、首に白い輪があると言う。すると高麗キジかも知れない。
左の鳥は「報春鳥」(鶯・ウグイス)、腹の赤い鳥は「花紅燕」スズメ目スズメ科、「アカハラツバメ」とも言われるロシアからの渡り鳥で冬に見られる鳥かも知れない。江戸時代にもロシアからやって来たのか。国立国会図書館デジタル化資料
木版画 フウチョウ

「風鳥雄(フウチョウ)」絵師不明、スズメ目フウチョウ科の鳥で、江戸時代の図譜には数多く見られる。極楽鳥とも言われた、その理由は18世紀に欧州にもたらされた時に足が切られてなく、生きている間は飛び続けると誤解されたためである。パラダイスバードの和名で極楽鳥となった。原産地はパプアニューギニア、インドネシアアルー諸島。国立国会図書館デジタル化資料 

堀田正敦『堀田禽譜』にもフウチョウの絵があります
「孔雀鳩 サラタ鳩」とあり、出身地がサラタ国とある。下の鳩は「紅毛持渡鳩」出所不明、右は「ヨタカ」ヨタカ目ヨタカ科、ロシアや北朝鮮で生まれ、冬に東南アジア辺りに南下して過ごす。和名・夜鷹と言われる。
  中央下の白い鳥は「エッサイ雉」キジ目キジ科、その隣は「アトリ替」スズメ目スズメ科、世界中に分布する。日本には冬場にロシア方面からやってくる渡り鳥。
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