《ヤン・スプリンター・スタヴォリヌスの日記》
当時、オランダ支配の極東を訪れた船長ヤン・スプリンター・スタヴォリヌスの日記がある。(この日記は彼の死後公開された)
『オランダ東会社にとって重要なことは、大量の丁字である、他の全ての国を排除しても、この香辛料を独占することだ。そうすれば、連中(オランダ)は楽しみながらその価格を上げたり、下げたり出来るのだ』。
また次のようにも書いている。
『しかしながら、東インド会社が香辛料貿易を自分たちだけで独占することは不可能なことであったろう。香辛料はモルッカ諸島に近接している所のどこにでも自然に生えているから、それをアンボンに移してそこだけで栽培するようにしない限り独占は出来ないことであった。(中略)また16世紀の中頃には住民にとっては金と同じであった丁字の木を全部切り倒してしまうことさえしている』
『世界を変えた植物-それはエデンの園から始まった』-B.S.ドッジ著 白幡節子訳(株)八坂書房刊
●他の国がオランダの独占を崩して、莫大な香辛料の取引に割り込もうとしていたのである。
何とかして香辛料の苗木を、他の土地で育てようとすることは当然のことである。そのため、オランダが支配している地域以外から、香辛料の苗木を探す努力が続けられた。このような背景に、冒険心に満ちたフランス人ピエール・ポワーヴルが登場する。次ページに
●下の地図は左が北になる。上が東で時計方向に90度回すと、我々の見慣れた地図になる。ほぼ中央がモルッカ諸島である。インドシナ東部、スラウエシ島とニュウギニア島の間にある諸島、香料群島(スパイス・アイランド)
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