タイトル
《東インド会社の香辛料独占》
 18世紀、オランダが極東の香辛料貿易を独占しており、その権益を守るため香辛料の木を盗まれないようにどんな汚い手段もとっていた。木の生えている地域は秘密であり、土地の王や所有者を富や武力などで宥めたり脅したりしていた。過剰な供給が値段を崩さないように、苗木を抜いたり焼いたりしていた。自分たち以外には香辛料を扱えないようにしていたのである

 


《ヤン・スプリンター・スタヴォリヌスの日記》

当時、オランダ支配の極東を訪れた船長ヤン・スプリンター・スタヴォリヌスの日記がある。(この日記は彼の死後公開された)
『オランダ東会社にとって重要なことは、大量の丁字である、他の全ての国を排除しても、この香辛料を独占することだ。そうすれば、連中(オランダ)は楽しみながらその価格を上げたり、下げたり出来るのだ』。
また次のようにも書いている。
『しかしながら、東インド会社が香辛料貿易を自分たちだけで独占することは不可能なことであったろう。香辛料はモルッカ諸島に近接している所のどこにでも自然に生えているから、それをアンボンに移してそこだけで栽培するようにしない限り独占は出来ないことであった。(中略)また16世紀の中頃には住民にとっては金と同じであった丁字の木を全部切り倒してしまうことさえしている』

『世界を変えた植物-それはエデンの園から始まった』-B.S.ドッジ著 白幡節子訳(株)八坂書房刊

他の国がオランダの独占を崩して、莫大な香辛料の取引に割り込もうとしていたのである。 何とかして香辛料の苗木を、他の土地で育てようとすることは当然のことである。そのため、オランダが支配している地域以外から、香辛料の苗木を探す努力が続けられた。このような背景に、冒険心に満ちたフランス人ピエール・ポワーヴルが登場する。次ページに

下の地図は左が北になる。上が東で時計方向に90度回すと、我々の見慣れた地図になる。ほぼ中央がモルッカ諸島である。インドシナ東部、スラウエシ島とニュウギニア島の間にある諸島、香料群島(スパイス・アイランド)

 
   

上はリンス・ホーテンの東インド諸島図、1596年。『世界古地図』 
チャールズ・ブリッカー著矢守一彦訳 

( 参考)モルッカ諸島の部分は、香辛料の歴史にあります、クリック 

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