《新版画『雪月花』根方の桜、大正11年(1922)4月》
 
版画根方の桜
  田園風景の桜である、昔なら何処にでもある情景である。子供が描いたような素直な暖かい高橋松亭の版画である。
  根方とは今の上池上あたり一帯をさすが、おそらく大正10年頃に完成を見た耕地整理の祝いの「呑川の桜」(長栄桜)ではないか。耕地整理により呑川両側には、幅三間(540センチ)の道が造られた。この両側に2000本の桜が植えられた。種類は吉野、若芽、ボタンの三種類の桜樹が、ほぼ5メートル間隔で植えられた。桜堤は4キロ近く続いたという。
『長栄桜植樹発願之趣意』昭和3年(1928)2月吉日 発願人 池上町林昌寺住職 加藤文淵氏の文章に高らかに唱われている。参照『大森区史』東京市大森区役所 発行 昭和14年(1939)2月12日

新版画『雪月花』根方の桜、渡邊版画店 大正11年(1922)4月
361×244

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