英一蝶の作品を紹介 東京国立博物館蔵 国立国会図書館蔵 肉筆画
『雨宿り図屏風 六曲1隻』英一蝶画 115.2×275.5センチ、(東京国立博物館蔵
  宝永6年(1709)に恩赦により江戸帰還後の作品である。12年に及ぶ島生活から解放されて、老年になった一蝶の気持ちが伝わる。突然の驟雨に雨宿りをする庶民の姿がリズムをもって描かれている。ひとつ不明な点がある。5面に描かれている人物の手前に描かれている物が分からない。道を歩く人物達が右やや上からわずかに下へ描かれている。自然に動きのリズムが捉えられている。余白を見事に処理している。
(注)右から4面までは平成14年修復後であるが、残りの2面は未修理の写真を使用している。下の写真は部分拡大である。


『乗合船図』英一蝶画 33.0×55.1センチ 東京国立博物館蔵
渡船の風景、船に馬を乗せようとして悪戦苦闘しているところ。船には大道芸人や山伏、僧侶、武士など雑多な人間が乗っている。東京国立博物館蔵


高嵩谷(1730〜1804)は絵を英一蝶画の門人佐脇嵩之に学んだ、一蝶風の風俗画を描く。晩年になり武者絵に傾注する。代表作は浅草寺に現存する大絵馬「源三位頼政鵺退治図」(天明7年)である。墓は、台東区蔵前の法林寺にある。


『英一蝶像』高嵩谷二代画 818.0×35.4センチ  東京国立博物館蔵蔵 
構成力が示す英一蝶、狩野派の教え『一蝶画譜』

「一蝶画譜 三巻」英一蝶原画・鈴木鄰枩(すずきりんしょう)編、江戸・青雲堂(鳫金屋儀助) 明和7年(1770)天地27センチ 国立国会図書館蔵  「昔の住吉踊り」 一蝶得意の風俗画、独特のリズム感 住吉大社にはこの踊りを模した人形が売られている。江戸では「願人坊主」と言われた坊主が、春から夏にかけて踊り寄付を募った。
「一蝶画譜 三巻」英一蝶原画・鈴木鄰枩(すずきりんしょう)編、江戸・青雲堂(鳫金屋儀助) 明和7年(1770)天地27センチ 国立国会図書館蔵 鷲と鵜 

「一蝶画譜 三巻」英一蝶原画・鈴木鄰枩(すずきりんしょう)編、江戸・青雲堂(鳫金屋儀助) 明和7年(1770)天地27センチ 国立国会図書館蔵 「川渡りの鍾馗様」
一般的な英一蝶画の本では、屏風とか肉筆画を紹介しており、それらを見ていると一蝶は澄ましたような風に見えるが、上記の風俗画を見ると一蝶が身近な親父に見えてくる。
「英一蝶画譜」英一蝶画・多賀信香画、(統一タイトル 一蝶画譜印譜井略伝附)国立国会図書館蔵 英一蝶の印譜集である。
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