●歌川芳盛は歌川国芳門人(1803-1885年)である。師とよく似た画風であるが、江戸末期から明治のかけて起きた戊辰戦争(1864-1869)を、題材として描いた戦争絵と呼ばれる浮世絵の様式を手がける。一時期、内務省に出仕したが、職を辞し横浜に移り住み、輸出向きの花鳥画を描いたという。山本野理子氏の論文によると「御上洛東海道」では12点を彼の浮世絵としているが、国会図書館デジタル資料では別の作品もある。これらの浮世絵も文久三年の浮世絵であることから、おそらく「御上洛東海道」であろうと考える。下記に番号なし*マークで記載する。月岡芳年の画面構成力からみると芳盛はやや遠近感があまく平面的である、面が単調な色彩で塗られているため、思ったような遠近感が出ていない。錦絵が摺りという工程を経るために宿命的な弱さかもしれない。しかし、同じ時代の月岡芳年たちから比べると、力強さが落ちると感じる。
2014.09.09更新