葛飾應為の得意な構図、血の滴る「関羽割臂図」

   
『関羽割臂図』
款記「應為栄女筆」印章「葛しか」(白文方印) 現在知られる応為落款の作品中、最も大きい作品(140.2p×68.2p)絹本 着色 一幅 クリーヴランド美術館所蔵

〔場面〕 右腕に毒矢を受けた関羽を、名医・華陀が小刀で骨に付いた毒を削り取って治療する三国志の場面。
 応為の制作の特徴として、無意味な背景、又は垂直の柱や切り抜き的背景がある。上の生々しい手術の場面では、人物の構成は良いとおもわれるが、背景の柱は今ひとつである。柱の模様とか、壁の処理が求められる。北斉も何かアドバイスをしたのでは無いか。

本図は国内の所有者を流転したあと、平成十年十月以後、不明であったが、その後、クリーヴランド美術館に収蔵された。

『本図の制作は『絵本通俗三国志』第五編巻之八の挿絵を参考にしたと思われる。そのことから、制作は天保末期から弘化年間(1840〜47)ではなかろうか』(注・久保田一洋)