『華鳥譜』森立之編 備後福山藩・藩医が食用鳥を描がかせた本


『華鳥譜』森立之(たつゆき)編、絵・服部雪斉
 食用(薬用)になる鳥を61種類集め、食べたときの簡単な説明(効用)と絵(鳥)を付け、和本にしたものである。編者森立之(1807〜1885)は、幕末に考証医学(漢方古典を文献学的、客観的に解明する)に活躍した備後福山藩藩医である。 医家の7代目である、藩医として出仕したが、天保8年(1937)に不祥事で12年間失職をする。弘化5年(1848)に復職して江戸に住む。古典医学書の編集出版や研究、執筆に従事した。『華鳥譜』はその中の仕事の一つである。明治維新後は、文部省や大蔵省印刷局などで本の編集に携わる。彼の死によって江戸考証医学は終焉を迎える。(参照・漢方医人列伝「森立之」小曽戸 洋 ツムラ・メディカル・トウディ)


木版画 朱鷺
絵師 服部雪齋(1807〜不明)は、江戸から明治20年代頃まで活躍した画家。明和2年(1765)に奥医師多紀氏が神田佐久間町に開設した幕私塾医学館から画の仕事を依頼された。その後、医学館は幕府の機関となる。彼の仕事は『目八譜』武蔵石寿編纂 弘化二年(1745)、『半魚譜』(1859)と『華鳥譜』(1861)、明治になり彼は田中芳男の下で仕事をした。一枚彩色刷りなど多くの画を残した。『服部雪齋自筆 写生帖』が最後の仕事であるようだ。

「と妃(朱鷺・トキ)」ペリカン目トキ科 日本の朱鷺は、江戸時代には珍しくない鳥であったが20世紀前半には絶滅した。

本の構成は、片ページに鳥の絵、裏側ページに効用が書いてある。病気の時に食すると漢方の見地から、どのような効用があるか書いてある。現代風に言えば、漢方医学書なのである。絵は61種類。国立国会図書館デジタル化資料 

木版画 山雉子

「やまと里(山雉)」キジ目キジ科 日本の国鳥である。北海道と対馬を除く本土に広く分布する、日本人になじみの鳥である。全長81センチ、雌はやや小さく58センチほどである。国立国会図書館デジタル化資料 

木版画 キツツキ

「キツツキ(啄木鳥)」キツツキ目 留鳥 大きさは雀ぐらいからカラスぐらいまで、世界で210種類ほど生息する。日本には10種類おり、コゲラ、アカゲラ、アオゲラ、クマゲラなどと呼ばれる。別名はケラとも言われる。本は華鳥譜。国立国会図書館デジタル化資料 アクセス 
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