本草学に熱中して絵も描いた殿様がいた 増山正賢(号・雪齋)『百鳥図』


伊勢長嶋藩(2万石)増山家五代藩主・増山正賢(川内守)
 
  増山家は第4代将軍家綱の生母に繋がる家系である。元禄15年(1702)頃、立藩する。8代続く家系より若年寄をだした。増山正賢は、自ら写生したらしく、日付や絵の画号(雪斉)が残されており貴重な資料である。伊勢長島は、現在の三重県桑名市長島町である。

増山正賢肖像画

増山正賢(1754〜1819)は48歳の時、家督を長男正寧(まさやす)に譲り、江戸巣鴨の下屋敷に移り、かねてからやりたかった本草学の学究生活を送る。絵は木村兼葭堂に学び精密描写をおこなった、画風は沈南蘋(ちんなんぴん)である。また、藩士の春木南湖に絵を学ばせた。彼は『百鳥図』以外にも昆虫を描いた『虫豸帖』(ちゅうちじょう)が有名である。18世紀中頃には顕微鏡も日本にもたらされており、手に入れていたのかも知れない。文化人大名として知られたが、文化元年(1804)7月、奢侈禁止令に違反したとして謹慎処分となる。文政2年(1819)に死去(66才)した。

木版画 エトピリカ
青木南湖筆

『エトウヒルカ』(エトピルカ)西蝦夷カラフトの海辺で捕獲、 国立国会図書館デジタル化資料
現在のエトピルカ (撮影・Alan D.Wilson) Wikipediaウィキペディア


木版画 ヒクイドリ

『火喰鳥』(ヒクイドリ)右『俗名孔雀鳩』
 国立国会図書館デジタル化資料

木版画 鳥スケッチ
『百鳥図』寛政12年(1800)頃、巻物・12巻 増山正賢(雪齊)自身の筆による写生。正確な描写と日付明記により評価は高い。他の画像も多数あります。(国立国会図書館デジタル化資料) 百鳥図は巻物に描かれており、小鳥などは上記のように、まとめて描かれている。
木版画 都鳥

『俗名・みやこ鳥』国立国会図書館
デジタル化資料

「東京名所六ヶ撰の内 都鳥のお高 市川左団次」画・豊原国周 浮世絵や歌にも使われる都鳥。
木版画 尺八鳩

『俗名・尺八鳩(青鳩・アオバト)』国立国会図書館デジタル化資料

木版画 カササギ
木版画 カササギ羽

『喜鵲鳥(カササギ)』左はカササギの羽、
国立国会図書館デジタル化資料
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