● 二人とも自分の好きな絵を描くということでは共通していたが、人生が幸せであったかを考えると、天と地ほどの開きがあったと考える。すべてを失い、精神に異常をきたし死んだグランヴィルに比べて、リアは鳥類画、風景画、ノンセンスイラストなどすべてに成功した。満ち足りた人生であったのではないか。 ● グランヴィルが正当な評価を得たのは、シュルレアリズムが登場してからのことである。ルイス・キャロルは二人の絵から共通する「やさしさ」を感じ取ったに違いない、弱いものへのやさしさが絵に満ちている。グランヴィルのイラスト『動く花々』を見ると胸が締めつけられる思いがする。 ●ほるぷ出版から『世界の絵本復刻版』昭和54年刊(1979)(オズボーン・コレクション全34巻)の中に、エドワード・リアの『ナンセンスの本』が入っています。また、「ナンセンス絵本」のタイトルで岩波文庫とちくま文庫から出版されています。 ● ファンタジック・イラストレーター・リスト のホームページに紹介されています。
ルイス・キャロルとイラストの依頼 彼は挿し絵をテニエルに依頼したが、きっと風刺画の画家であれば、同じようなイメージの画ができると思ったのであろう。そのためにテニエルに口うるさいほど注文をつけた。テニエルはあとで二度とルイス・キャロルの仕事はしないと憤慨したという。また、それを証明するような、次のようなエピソードがある。 『ルイス・キャロルが顕微鏡マニアで、自作の本の挿絵画家候補者たちが描いてよこしたサンプルを顕微鏡で見て、描線がより細かい方の絵師を採用しようとして一党の不興を買ったとか』(「世紀末異貌」 高山宏著 三省堂刊)
イギリスの代表的諷刺誌『パンチ』のカリカチュアリスト、つまり今日風に言えば漫画家たちであった。『不思議の国のアリス』に楽しい挿絵を付したテニエルは、むろんその一人であったし、ナポレオンのパロディを盛んに描いたJ・ギルレイもその一人であった。そして彼等の先輩筋には諷刺画の大家G・クルックシャンとトマス・ローランドがおり、後輩筋にはフランスの有名な「前シュルレアリスト」J・J・グランヴィルがいるという次第だ。『パラノイア創造史』荒俣宏著 筑摩書房刊
『突飛なるものの歴史』ロミ著 高橋弘美訳(株)作品社刊 1993年 アンソリット、つまり突飛なものの考察が面白い本です。人間の想像力を考える上で参考になります。「アリスに影響を与えた二人の画家」の図版はこの本からのものです。右の本(筆者所有) 『パラノイア創造史』荒俣宏著 筑摩書房刊 イギリスの代表的諷刺誌『パンチ』のカリカチュアリスト-つまり今日風に言えば漫画家たちであった。『不思議の国のアリス』に楽しい挿絵を付したテニエルは、むろんその一人であったし、ナポレオンのパロディを盛んに描いたJ・ギルレイもその一人であった。そして彼等の先輩筋には諷刺画の大家G・クルックシャンとトマス・ローランドがおり、後輩筋にはフランスの有名な「前シュルレアリスト」J・J・グランヴィルがいるという次第だ。