神話から生まれた大洪水 ノアの箱船から飛び立つドードー鳩


アイコン〈ノアの方舟から生まれた三位一体〉

 方舟が人類の救済に使われたことにより、教会の平面図を上から見ると「舟の形」をしている。西側の入り口 から、東の祭壇まで伸びる中央部の長い空間を身郎と言うが、この名前がラテン語では、「NAVIS」と言い舟をあらわす。
 また、入り口においてある水盤の形が八角形なのは、ノアの一族八人に由来していると考えられている。
 「聖書神話の解読 世界を知るための豊かな物語」西山 清著 中央公論社より

〈アフリカをのぞく世界中にある洪水伝説〉

 もっとも近い神話は「ギルガメッシュ叙事詩」の中の洪水物語である。これは1872年に、イギリスの大英博物館エジプト・アッシリア部の助手、ジョージ・スミスがアッシュルパニパル王の図書館から出土した粘土板から発見した物語である。

  アッシュルパニパル王は紀元前650年頃のニネベの王であった。 その後、ニップル、アッシュル、キシュ、ウルなどからシュメール語で書かれた洪水物語が発掘された。
洪水伝説は古代より、アフリカ以外の国にもあり、古くシュメールまでさかのぼる物語であったのだ。 旧約聖書は、これらの話を土台にして記述している


〈洪水伝説と鳩の話〉
 
 鳩がオリーブの枝を嘴にくわえてきたことから、この姿が平和のシンボルとなり「オリーブの枝を差し出す」ことが和解提案の印しとなった。1949年には、パリで開かれた国際平和用語会議で、ピカソデザインのポスターが作られ世界中に浸透した。また、鳩は安全な住処を失ったために、悲しみから胆嚢が破れてなくなったという伝承がある。実際に鳩は長距離を飛ぶ。戦後、毎日新聞が昭和天皇陛下の皇太子時代、イギリス訪問の取材で、洋上から伝書鳩を放したが400キロほど休むなく跳び続け、無事に目的地に着いたという。イラストは
貴族の紋章に使われた「オリーブをくわえたハト」。 (『イメージ・シンボル事典』より)

ピカソ画

〈「オリーブと鳩」は昔からシンボルだった〉
 通常は、オリーブの枝をくわえた白ハトとして描かれ、平和を意味する。また、節操、永遠の命、純粋、臆病を表す。錬金術では「鉛の中のハト」は物質のなかに閉じこめられた精神を意味する。タバコのピースの缶 にも似たようなイラストが描かれている。
(『イメージ・シンボル事典』大修館書店 1984年刊)

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