ドードーの祖先はどんな鳥か
アイコン《ドードーはどの種に帰属するか、学者たちの論争が続いた》
ドードーはダチョウの仲間か
 ドードーが絶滅したのち、どの種類に入る鳥であるか、学者間で論争が続いた。イギリスの鳥類分類学者フランシス・ウィラビーやリンネは「ダチョウ」の仲間であるという。
  1835年頃には、フランスの動物学者デュクロテー・ド・ブランヴィルが「ハゲワシ」の肉食類だと主張した。 ドードーは草食性だからそれは違うなどと、活発な論争が繰り広げられた。他にも「ウズラ」「ツル」「トキ」「ペンギン」までもが登場した。


1848年頃、この論争に終止符をつけたのは、オックスフォードの鳥類学者で地質学者のヒュー・E・ストリックランドである。
 彼は『ドードー、ならびにその近縁の鳥たち』(1848年)と題する小冊子を刊行して、新しい見解を発表した。 彼は有名なサヴェリのドードー絵を研究したところ、胸の飛翔に必要な筋肉から、ドードーは巨大なハト(ハト科)であると考えた。 弧島に住んでいたために飛翔能力を失い、他の走鳥類と同様に独特の進化をとげたのだという。 この原始ハト説は他の学者から、こんな巨大なハトがいるわけがないと攻撃された。

アイコン《オオハシバトはドードーにつながる中間の鳥である》
ヒュー・E・ストリックランドの死後(1853年、調査中に鉄道事故で死亡)、この説が受け入れられるようになったのは、彼の死後まもなくに太平洋のサモアから、イギリスに『オオハシバト』(英名trooth-billed Pigeon)が送られてきてからである。この鳥はヨーロッパの鳩と、マスカリン諸島のドードーと、中間の位置を占めていると思われた。
 嘴(クチバシ)が太く曲がり、どっしりとした頑丈なこの鳥こそ、ハトとドードーを結ぶ鳥だったのである。大きさは普通 のハトぐらいであるが、原始バトらしく、くちばしは鋸歯状である。樹上性で果実をたべるらしい。鳥は恐竜から進化したと言われているが、この鳩を見ていると、その証なのかもしれないと思う。

《オオハシバト》ハト目ハト科

Diduncius strigirostris(学名)
Tooth-billed pigeon(英名)
サモア島に住む、オオハシバト(和名)


合衆国探検記 第八巻 哺乳類
鳥類の図鑑『絶滅希少類』 荒俣弘編
世界大博物館図鑑 別館1 平凡社刊
紹介、上記の『絶滅希少鳥類』の本
 

生態 
 大きさは34センチぐらい。観察記録によれば、『奇妙な歯を持つ鳥、大きさは12インチほど、嘴にはハッキリとした3つの歯を持つ。飛ぶ姿は力強く、地上では速く走る。成鳥は翼と尾の一部にチョコレート赤のいろがある。嘴はオレンジ色』などである。


ハトは大雑把に言えば4つの亜科に分けられるらしい。(参照、ハト系統樹)
カワラバト亜科(180種)、アオバト亜科(120種)、カンムリバト亜科(3種)オオハシバト亜科(1種)でほとんど分類できるようだ。数字を見ても分かるように、オオハシバトは特殊な種である。


オオハシバト
「1871年1月7日の『Appleton's Journal』に掲載された
オオハシバトのイラスト」

説明文によれば……
  このイラストはサモア島の宣教師から送られた。文章に寄れば『奇妙な歯を持つ鳥、有名なドードーに近い鳥、滅多に見ることが出来ない、大きさは12インチほど、嘴にはハッキリとした3つの歯を持つ。飛ぶ姿は力強く、地上では速く走る。成鳥は翼と尾の一部にチョコレート赤のいろがある。嘴はオレンジ色である。現地ではmanu-meaと呼ばれている』などである。
以上は、 現地で捕らえられたオオハシバトの観察記録である。驚くことはドードーの絶滅から30年ほどなのにドードーの近縁と知っていたことである。

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