アイコン 《海洋冒険小説…日本には成立しえなかったジャンルである》

日本では江戸時代寛永16年(1639)から嘉永6年(1852)の215年間鎖国した。海外渡航出来る船はなく、沿岸や河川を航行出来る船しか造ることを許されなかった。そのためか、倭寇や秀吉の朝鮮出兵のように、他国を侵略することは無くなり国内は戦争のない平和な時代を送った。

イギリスの海洋小説や映画をみると、帆船での生活や大航海時代のイギリスやフランスなどの覇権争いがよくわかる。どんな困難にも立ち向かうジョンブル魂の一片は、この頃に形成されたのではないかと考える。イギリスの海洋小説は数多く、シリーズ化されてロングランものが多い。

私も好きな「アレキサンダー・ケント」の『海の勇士、ボライソーシリーズ』の中から、モーリシャス島を舞台にした『復習のインド洋』(ハヤカワ文庫)を紹介します。これらの小説は教科書から得ることが出来ない当時の社会が持つ雰囲気を知るには格好の読み物である。もちろん、植民地にされる人々の悲劇は描かれず、征服する者の英雄的先頭場面のみであるが。

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『復習のインド洋』は海の勇士ーボライソーシリーズの21巻目である。
(早川書房刊 1998年)物語は、英国とインドを結ぶ通商航路を分断しようとするフランスとの戦い(ナポレオン戦争)の話である。フランスの意図するところを潰すために、フランス領モーリシャス島に上陸する陸軍を援護する作戦で、フランス艦隊との戦 いを描く。
  本シリーズと共に有名な海洋小説として「C・S・フォレスター」の「海の男ーホーンブロー・シリーズ」があり、このほうが日本では有名かも知れない。どちらも面 白くて海洋民族イギリスと、海や帆船を理解する一助となる。

「ホレショ・ホーンブロワーの生涯とその時代」( C・N・パーキンソン著 出光宏訳 至誠堂刊 1974年)教科書で習ったことのある「パーキンソンの法則」で有名な学者の本、架空の人物を真面目に論じている。

映画になった戦艦バウンティ号の反乱(Mutiny on the Bounty)の映画  

戦艦バウンティ号の反乱の映画
1935年から3回にわたり映画化されている。
主演俳優は、チャールズ・ロートン、クラーク・ゲーブル、ローレンス・オリビエ、マーロン・ブランドなど映画ファンでなくとも良く知られた名優達である。日本での上映は、昭和13年にクラーク・ゲーブル主演のものが上映された。
いまでも再放送されるのはマーロン・ブランドものである。彼は撮影中に相手の女優を妊娠させ、のちにはタヒチに住んだという。彼は映画を地でいくような生活を送った。


アイコン 書籍は以下の本が出ている。
『バウンティ号の反乱』 筑摩書房ノンフィクション全集、ウイリアム・ブライ著、由良君美訳、1961年刊。 『バウンティ号の反乱』 新潮文庫 1963年刊。 その他、冨士出版、タイムライフなど 『帆船バウンティ号の反乱』 ベクト・ダニエルソン著、山崎昴一訳

写真の1983年刊 『バウンティ号の反乱』 ブライアン・フリーマントル著 新庄哲夫訳 早川書房 1996年刊のフィクション仕立てのものもある。


アメリカの映画データーベースによれば、バウンティ号のを題材にした映画はサイレント時代から全部で5本ほどある。内容の不確かなものを入れれば、もうすこし増えるようだ。(2002年)


1916年 『Mutiny on the Bounty』 
サイレント映画 モノクロ 上映 アメリカ ロケ地オーストラリア

1933年 『In the Wake of the Bounty』 
モノクロ映画 上映アメリカ ロケ地 オーストラリア。俳優は、副長フレッチャー・クリスチャン役に美  男俳優エロール ・フリンが演じている。 


1935年 『Mutiny on the Bounty)』 
モノクロ彩色映画 アメリカ、俳優は副長フレッチャー・クリスチャン役にクラーク・ゲーブルである。 


1957年 『Women of Pitcairn Island,The』 
モノクロ映画 アメリカ この映画は、反乱者のジョン・アダムスが見つかったピトケアン島で、彼らの子孫を題材としている。 1962年 『Mutiny on the Bounty』 テクニカルカラー映画 アメリカ 俳優は副長フレッチャー・クリスチャン役にマーロン・ブランドである。

1989年 『Mutiny on the Bounty』 アメリカ
あまり質の良くないコメディー映画である。 
どの映画も副長に肩を持った、海洋冒険映画のスタイルである
。 


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