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「どうって、あいかわらずびしょびしょしよ」アリスはゆうつそうに、「これじゃ 全然乾きそうにないけど」 「だとすれば、ですね」ドードーが立ち上がって、しかめつらしくいいだした。 「つまり、からだを乾かすためならば、堂々めぐりするのがいちばんじゃないで しょうか」 みんなは、ヨーイ・ドンで好き勝手なほうに走り出した。 30分程のちにレースは、 突然ドードーの「レース終了」合図で終了する、「みんなにご褒美を」という ドードーの提案で、アリスの持っていたボンボン菓子をくばった。アリスにもごほうびということに、またもやアリスの持っていた「ゆびぬき」を、ドードーがうやうやしくアリスに渡した。アリスも全体に何だかばかげた感じがした。 海洋堂のフィギア「人形の国のアリス」アリスに指輪を渡すドードー |
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上のイラストはコーカサス・レースの終了後にアリスに指ぬきを渡すドードーの場面。 |
『不思議の国のアリス』のイラストについて…… |
《ルイス・キャロルはマジック好きだった》 ●19世紀末はマジックの大流行であった。良く知られたハリー・フラディーなどの出た時代である。ルイス・キャロルもマジックが大好きであったらしい。彼自身もハンカチを使ったマジックが出来たと言う。 その影響か、『不思議の国のアリス』に登場するウサギは、マジシャンの格好をしている。チェック縞のチョッキ、手には時計を持ちのぞき込んでいる姿など、立派なマジシャンである。その好奇心がこうじて写真を撮ったりしたのではないか。そして晩年には、コナンドイルのように、心霊思想などに興味を示していた。 ■参照・『キャロル大魔法館』ジョン・フィッシャー著(河出書房新社)、 『世紀末異貌』高山宏著(株)三省堂刊 1990年 を読んでみると参考になります。 |
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