明治初期に絶滅したと思われる日本狼(ニホンオオカミ)山犬を江戸図譜で見る |
![]() 狼(おおかみ) オオカミは大陸オオカミ一種であり、ニホンオオカミはその亜種であると見られる。北海道を除く本土に分布していた、北海道にはやはり亜種であるハイイロオオカミがいた。日本本土では、明治38年(1905)奈良県東吉野村鷲家口で捕獲されたオスのオオカミ以後、目撃例がなく絶滅したと考えられる(定説)。北海道の蝦夷オオカミ(ハイイロオオカミ)はこれより早く明治33年(1900)頃と考えられる。 |
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![]() ●日本の山岳信仰三峯神社では、神の使い「神使(しんし)」として祀られ『大神(オオガミ)』と呼ばれた。現在も山岳信仰の神社の狛犬になり参道を守っている。大田区の山岳信仰神社・御岳神社 東京国立博物館蔵 |
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●『諸獣之図 諸鳥獣の内 狼』博物館獣譜 東京国立博物館蔵 江戸時代 右写真は 御嶽神社のオオカミ狛犬 である。 |
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●永青文庫蔵『毛介綺煥』のオオカミ(図なし) |
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![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ●狼(オオカミ)を形取った「根付」 根付とは江戸時代に使用された留め具である。和服では小物(煙草入れなど)を腰帯に止めるため、紐の先端に根付を付け帯に通す、根付が滑り落ちを防ぐ役目を果たす。江戸時代になり始まり後期には爆発的に流行した。主に男が用い武士も町民もなく実用から装身具として発達した。材質は木製の黄楊(つげ)から象牙まで色々あるが彫りの一品製作なので同じ物はない。武士は身分を表すものとして身につけ、町民は財力を表すものとして贅(ぜい)をつくした。また印籠には必需品であり、高価な印籠には高価で見合った根付がつけられた。東京国立博物館には、コレクターとして有名であった郷誠之助氏と高円宮憲仁親王の募集品が収蔵されている。 トップ目次に戻る 図譜目次に戻る明治以後、外国人には大変な人気で美術品として取引されて、浮世絵と同じく良物は全て海外にある状況のようだ。根付を付け小粋に見せる伝統は現代に受け継がれ、携帯電話ストラップに小物をつけ見せることを意識したギャル(小娘)がいる。 ●左から一番目「狼亀木彫根付」線刻銘・「政友」「三番目は、線刻銘「友忠」、四番目・線刻銘「虎渓」、五番目・線刻銘「信吉」 根付の大きさは3.5センチほど 東京国立博物館蔵 (参考「印籠と根付」東京国立博物館 二玄社200年刊) |