「江戸名所図会 麦藁細工」天保5年(1834) から店頭の風景


本の説明には「五彩に染めて……」とあるのは、麦藁のうすい黄色以外にも赤や緑、紫などに染めて作られていたからである。絵でも確認できるが、「動物や傘」「帆掛け船」「人形」「箱物」など色々な細工物が並べられている。専門店らしく繁盛した様子が見える。1834年出版の「江戸名所図会」である。この頃には、東海道を行き来する旅人に、手頃な江戸土産として知られていたのだろう。

麦わら細工は二種類あった。

 
『箱物というのは、麦藁を縦割りにして赤、黄色、青、黒、藍などの原色に染め分け、それを大小の箱物とか屏風や青龍刀などの表面に、さまざまな文様や花鳥・人物などの絵として切り張りしたもので、これを「麦わら張り細工」といった。捻り物は、麦わらを棹状のまま使い、虎、熊、鶴、亀、イノシシ、馬、兎、雀、金魚、蛙、蟹などの動物類から、でんでん太鼓、唐人笛、纏、風車、振り槌、など色々な形に編み上げるもの』(「麦わら細工の輝き」大田区立郷土博物館発行から引用)と様々な種類があった。   ここまで来ると、農閑期の農民の作りではなく、専門の職人がいたのであろうか。麦わら細工は昭和初期頃まで続いたという。
 (参考 「麦わら細工の輝き」大田区区立郷土博物館編・発行 1999年)


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