歌川国芳門弟である歌川芳盛は、一光齋芳盛として
「御上洛東海道」に参加した


歌川芳盛は歌川国芳門人(1803-1885年)である。師とよく似た画風であるが、江戸末期から明治のかけて起きた戊辰戦争(1864-1869)を、題材として描いた戦争絵と呼ばれる浮世絵の様式を手がける。一時期、内務省に出仕したが、職を辞し横浜に移り住み、輸出向きの花鳥画を描いたという。山本野理子氏の論文によると「御上洛東海道」では12点を彼の浮世絵としているが、国会図書館デジタル資料では別の作品もある。これらの浮世絵も文久三年の浮世絵であることから、おそらく「御上洛東海道」であろうと考える。下記に番号なし*マークで記載する。月岡芳年の画面構成力からみると芳盛はやや遠近感があまく平面的である、面が単調な色彩で塗られているため、思ったような遠近感が出ていない。錦絵が摺りという工程を経るために宿命的な弱さかもしれない。しかし、同じ時代の月岡芳年たちから比べると、力強さが落ちると感じる。 2014.09.09更新


41
. 東海道箱根 箱根 文久三年四月 太田屋多吉
57. 東海道薩陀峠 薩陀峠 文久三年 多吉
63. 東海道府中 府中 文久三年四月 小林鉄次(治)朗
67. 東海道之内岡部 岡部 文久三年四月 近江屋久助・久次郎
70. 東海道金谷 金谷 文久三年四月 福忠
77. 東海道浜松 浜松 文久三年四月 近江屋久助・久次郎
101. 東海道佐屋 佐屋通りか 文久三年四月 魚屋栄吉
119. 東海道草津 草津 文久3年4月 太田屋多吉 
120. 東海道瀬田唐橋 瀬田の橋 文久三年四月 魚屋栄吉
145. 東海道名所京洛中之内五條橋 五条橋 文久三年五月 太田屋多吉
146. 東海道之内蹴鞠之遊覧 鞠の坪 文久三年六月 太田屋多吉
148. 東海道京都紫宸殿 *禁中 文久三年四月 太田屋多吉
149. 東海道之内京都参内 *禁中 文久三年五月 太田屋多吉
154. 東海道之内京都御出立 京発足 文久三年五年 太田屋多吉

別に板行された御上洛東海道(三枚揃い)
右幕下頼朝卿上京行列之図 文久三年 上金・上州屋金蔵
東海道五十三次 新井風景 文久三年 丸鉄

以上14点は、タイトル『東海道中を描く錦絵の新展開ー「御上洛東海道」を中心にー』文学研究科博士過程後期課程 山本 野理子氏の論文中のリストによる。この中で国立国会図書館デジタル化資料で収蔵されている浮世絵9点(赤字)を紹介す。*は同所を描いた絵が複数あり、目録の示す絵がはっきりとわからない事を示す。2点 (緑字)は大正7年の豪華本『大名道中』東光園刊から撮影転載。(『馬込と大田区の歴史を保存する会』所蔵)

浮世絵 浮世絵 浮世絵
41.箱根

63.府中

67.岡部

浮世絵

浮世絵

浮世絵
70.金谷 77.浜松 101.佐屋通りか

浮世絵

浮世絵

119.草津 120.瀬田の橋 146.鞠の坪

浮世絵

浮世絵

浮世絵
146.鞠の坪 148.*禁中 57.薩陀峠(さったとうげ)

浮世絵
145.五条橋(三枚揃)
浮世絵

*新井風景(三枚揃い)

 御上洛東海道絵師目次