ー葛飾北斉の日蓮像 「七面大明神応現図」 茨城県古河市の妙光寺蔵ー
0
『七面大明神応現図』葛飾北斎筆(落款・八十八老人卍敬蹕)』妙光寺所蔵 東京国立博物館委託

 葛飾北斎が日蓮宗の信者である事は知られているが、日蓮の肖像画や日蓮に関連する事跡は描いていない。右の絵は、北斎が描いた数少ない日蓮像である、 北斎晩年の作品である。茨城県古河市の妙光寺にあるが、東京国立博物館に委託されている。

『この作品は、茨城県古河の妙光寺に伝えられ、北斎はここに逗留して製作したと言われる。もし事実であるとすれば、落款(らっかん)の八十八歳から、弘化四年(1847)のこととなる。題材の内容は、七面山(山梨県南巨摩郡身延町)の山頂に祀られる七面大明神に係る伝承を描いたものである。それは健冶三年(1277)に日蓮聖人が身延山頂の高座石で説法を行われたとき、一人の妙齢の美女が熱心に聴聞しているのを聴衆が怪しんだ。日蓮聖人は傍らの瓶の水をその女に注ぐと、たちまち竜の姿となった。やがて元の姿となり、己は七面山に住す七面天女で、身延山の鬼門を護る法華経の護法神であることを告げたという。画面は、まさに七つの竜頭をもつ竜が姿を現す場面である。泰然と読経する日蓮聖人以外の周囲の人々は、みな恐れおののいて迫真の画面をみせている(略)』

「法華仏教文化史論叢・葛飾北斎の日蓮信仰」渡邊寳陽先生古稀記念論文集 「葛飾北斎の日蓮信仰」から(平楽寺書店)  

北斉目次に戻る  日蓮芸術家目次に戻る