イタリア ジェノヴァ市の「E・キヨソーネ東洋美術館 」
に眠っていた「御上洛東海道」


E・キヨソーネは明治政府が雇い入れたお雇い外国人の一人であり、明治の印刷や貨幣の製造に多大の貢献をした。彼が日本で収集した浮世絵の中に「御上洛東海道」の揃いもの162枚が眠っていた。これは文久3年4月、徳川将軍家茂の上洛
風景を描いた浮世絵162枚である。専門家の間では知られた事であろうが、一般的には知られていない。
 今回、六郷の渡しを描いた浮世絵を探している経過で偶然発見した。調べて見ると大名行列を取り上げた本に断片的に出てくるが、詳細は不明であった。その後、直接この事を書いた論文と『E・キヨソーネ東洋美術館 『東海道五十三次 将軍家茂公御上洛図』福田和彦著を知った



 
『E・キヨソーネ東洋美術館 東海道五十三次 将軍家茂公御上洛図』福田和彦著 (株)河出書房新社  2001年刊 3500円

E・キヨソーネ(1833〜1898)イタリア人


上は「鈴ヶ森」二代広重画 文久3年と左は「川崎」(六郷の渡し)二代広重画 文久3年 拡大表示

  歌川派絵師16名が関わった「御上洛東海道」は、絵師の力量の差がはっきり出たシリーズである。
特に構図に技量の差が現れ、酷評すれば単に行列を描いたといわれても仕方のない絵もある。幕末の頃より瓦版(よみうり)の持つ報道性とも言うべき方向が重視され、芸術性は軽視されたように見える。人物の描き方も、将軍の軍事行列を描いたため、初代広重の「東海道五十三次」の美しい風景は後退して、絵師の力量による差が激しい。報道性の追求は、明治初期に新聞浮世絵となり事件を報道したが、写真の出現により新聞浮世絵が取って代わられた。その時代の流れを予感させる錦絵シリーズである。

 
■「御上洛東海道」(行列東海道) 国立国会図書館デジタル化資料収蔵の作品から、絵師目次
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